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パリ空港待ちぼうけ

b0041912_20564629.jpg ドゴール空港に着いて、10分余りで来る筈の送迎バンを待ち始めてから既に1時間。隣のターミナルまで来ている筈の送迎バンは、いまだ陰も形もなく、地図なし文無しの私は、どっぷり日の暮れた空港出口で大荷物を前にため息ばかり。こんなことなら、サクッとニースに入れば良かった。このまま夜中まで待ちぼうけになったらどうしよう。
 冷静に考えれば、お金はシティバンクのカードで下ろせば何とかなるし、パリ市内には空港バスか地下鉄を使って入ればよいのですが、私のいる第2ターミナルの端からメトロの駅は遠く、背中のリュックはズシリと重いし、疲れ切った身体に鞭打って大きなトランクと荷物と共に人気もまばらな空港内を移動する気力が残っていません。
 送迎サービスのお値段は約4500円。既にクレジットカードで支払い済み。バンに乗らなかったら、料金を返金して貰えるでしょうか?
 しびれを切らして、また電話に向かいました。「これでもう3回目の電話ですけど」と話し出すと、例のマダムが「あっ、切らずにお待ちください。」と言うや否や保留にされてしまいました。初めはきっとバンの位置を調べているのだろうと待っていた私ですが、延々保留音を聞かされているうちに、マダムがうるさい客を追っ払うために保留にしたことに気づき、これってもしかして空港出向かえを騙ったサギビジネス?という疑いまで頭をよぎって、不安以上に怒りがこみ上げて来ます。
 睡眠不足と疲れで完全に余裕を失いつつも思い切って4回目の電話をしてみると、今度は若い声のムッシュウが応対。保留にされてなるものかと意気込んだ私はいきなり「どうして一時間以上も私を空港にほおっておくのよ!?」と叫びました。
 実は今回の滞在に際して、フランス流のいい加減さにカリカリしたり、簡単に腹を立てないように気をつけようと決心して来たのに、パリ到着直後にもろくもその目標は崩れてしまったわけで、あーあ、やっぱり変わらぬおフランス流、もううんざり。つづく
*写真は「アメリ」にも登場したカナル・サンマルタン
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by cheznono | 2007-10-30 20:59 | 不思議の国フランス

パリ空港送迎サービス

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 東京からチューリッヒ乗換えでパリに到着した夕方は、空港送迎サービスを予約していました。一台のバンが同じような時間に到着した乗客を拾って、パリ市内のホテルや自宅に送り届けるサービスで、荷物が多いし、パリのはずれの安宿に泊まる私は、以前にも利用しています。
 長いフライト中、隣席の赤ちゃんがずっと泣き止まなかったせいか全然眠れなかったので、パリに着いた時はフラフラしていました。でも大丈夫、私にはお迎えのバンが来るはず。着いたら電話をするようにと言われた番号にかけると、なまりの強いムッシュウが、「ドライバーが10分くらいで迎えに行くから、ターミナルと出口を間違えないように、待っていてください。」とのこと。言われたとおり、ドゴール空港第2ターミナルの端で、おとなしくバンが来るのを待っていました。
 ところが、30分待ってもバンはやって来ません。まだ夏時間だから陽射しが長いなあと思っていた空もだんだん暮れなずんで来ました。40分近く過ぎて、かなり不安になった私は、もう一度オフィスに電話をかけてみました。
 今度はマダムが出て「ええと、バンは今となりの第3ターミナルでお客さんを降ろした所です。だから、あと最大10分くらいで迎えに行けるでしょう。」と言われました。まだ10分も待つの?と不満を漏らした私ですが、「ドライバーにわかりやすいように出口の外で待っていて下さい。」とマダムが言うため、風の冷たい出口でまたおとなしくバンを待ちました。もう隣のターミナルに来てるなら、まあ間もなくやって来るだろうと思いつつ、いつの間にか20分以上過ぎました。それにしても、遅い。本当にお迎えは来るのでしょうか?
 ドゴール空港とは言え、ターミナルの端は人影もまばらで、空は暗いし寒いし、睡眠不足と疲れで意識もボーっとして来ました。しかも私は現金を殆ど持って来ていません。フランスのキャッシュカードが9月末で有効期限切れで、新カードはニースに送ってもらうように頼んであり、明日パリの支店で小切手を現金化すれば良いからと思って、所持金50ユーロ位で渡仏した次第で、今さら、タクシーで市内に入ることになってもお金がないし、かなり高いに違いありません。手元にはパリのガイドブックもおろか、パリの地図さえ持っていませんでした。つづく
*写真はリュクサンブール宮殿
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by cheznono | 2007-10-27 23:09 | 不思議の国フランス

パリの蚤の市

b0041912_2052344.jpg 小春日和で温かく、コートダジュールらしい秋と思っていたら、週末から急に気温が落ちて、海の色も冬の色に変わって来ました。先週後半は、サルコジ大統領によるSNCF(フランス国鉄)の年金改革に抵抗した大規模ストで、全国的に交通が麻痺したため、旅行中に足止めをくった人も多かった模様です。
 その全国ストにぶつけて、やっとエリゼ宮が大統領の離婚を正式に発表し、これまでマスコミを全面的に避けて来たセシリア夫人は、別れを切り出した余裕からか、公表翌日からせっせと雑誌に登場して、20年に渡る二人の関係について語り始めたのは面白いものですね。
 さて、パリではトラムに乗ってポルト・ド・ヴァンヴの蚤の市を覗いて来ました。高級志向のクリニャンクールやガラクタ志向のモントレイユには結構がっかりした経験がありますが、「パリの出会いの場所!パリ市内における只一つのアンティークの蚤の市」というパリ市によるヴァンヴの紹介パンフに惹かれて、出かけた次第です。
 パンフには毎週末、400もの専門家と一般の出品者がスタンドを出すとありますが、実際にはこじんまりしていて、南仏の田舎のアンティーク市と規模は変わりません。アンティークといえるものから、家の不用品を持ち寄ったフリマのようなものまで、スタンドは脈絡なく混じっていますが、それだけに庶民的で楽しく歩けます。観光客よりも遥かにフランス人のお客が多かったのは、パリにしては意外。中には日本人の出店者の姿もありました。
 これなら毎週月曜日のニースのアンティーク市の方が、古いもの、掘り出し物がありそうですが、キッチン用品やアンティーク布地などは、ヴァンヴの方がアンティーブの市よりも手ごろな品が安く出ていました。みんな楽しげに値段の交渉をしていましたが、やっぱり日本人相手だと特に女性の店主は渋くて、殆ど値引きはしてくれません。でも、頻繁に顔を出していれば、うまい買い物ができそうな蚤の市には違いないでしょう。クリニャンクールなどに比べて、あまり観光化されていず、古き良きパリの雰囲気が感じられたのが、一番の収穫でした。
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by cheznono | 2007-10-22 20:50 | 不思議の国フランス

マルセイユ初探訪

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 枯葉の音が似合うパリを通過して、暖かいニースに戻って来ました。とはいえニース市内に出る間もなく、マルセイユに行こうと友人夫妻に誘われたので、昨日早起きしてついて行きました。
 何度も計画しながら、未だに訪れたことがなかったマルセイユは、聞きしに勝る雑然とした印象で、街中はパリの西駅とモンマルトルを足したような雰囲気。やたらにおまわりさんが目立ち、観光客よりは遥かに警官の数がまさっているように見えます。旧港に出てた魚のマルシェのおばさんにも、お財布には充分気をつけるようにと注意されましたが、でもスリの数は観光客がうようよしているニースとさして変わらないのではないでしょうか?
 旧港に面しているミラマールという古びたレストランが、本物のブイヤベースを食べさせることで有名だそうですが、一晩煮込むため前日までに予約が必要なのと、予算も60ユーロ(一万円弱)とお高いので、ふらっと食べに寄れるお店ではなさそうです。
 旧港の近くで安くておいしいお魚を食べた私たちは、一通り市内を歩き回り、夕方、マルセイユ初探訪の私のために丘の上のノートルダム・ド・ラ・ギャルド聖堂に向かおうとドライバーがゆっくりと運転を始めたとたん、携帯が鳴りました。徐行していたドライバーは返事をしたけれど、相手の声が聞こえないらしく、「アロー?アロー?」とだけやっていると、運悪く警官が止まれの合図をするではないですか。警官は楽しげに仲間と雑談しながら、事務的にドライバーの免許証と保険証を確認し始めました。
 私たちは特に交通違反をした自覚がないのに、同僚と談笑しつつも、やたらに注意深く免許証などをチェックしていたおまわりさん、いきなりドライバーに向かって早口でまくし立て始めました。「ムッシュウ、あなたは運転中にもかかわらず、携帯電話にめちゃくちゃ集中してましたね。これは違反ですよ、はい罰金。」だって。ちょっとひどいと思いましたが、普段はすぐに頭に血が上るドライバーが思いがけずひと言も言い訳せずに、違反用紙を書き込まれるのを我慢強く待っています。
 たまたま携帯が鳴ったのが運のつき。しかも、間違い電話だったらしく、発信番号に心当たりはなくて、その後二度とかかって来ません。
 警官はたっぷり20分かけて、違反用紙を書き込み、ドライバーに3500円余りの罰金の請求書を渡して、やっと解放してくれましたが、全くもう、仕事をしているぞというパフォーマンスするなら、もっと怪しい人を捕まえてよと呆れる出来事でした。これも、ついに離婚が成立したサルコジ大統領の取り締まり強化作戦の一環かと思いますが、治安の悪い街ならばこそ、ポリスにはもっと有益な仕事をして貰いたいものです。
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by cheznono | 2007-10-18 07:42 | プロヴァンス賛歌

題名のない子守唄

b0041912_0242926.jpg ジョゼッペ・トルナトーレ監督の久々の新作、「題名のない子守唄(原題は見知らぬ女)」は、思わずブラボー!イタリア映画、と言いたくなるような人間ドラマでした。でも、その裏には西欧社会の恐ろしい闇が隠されていて、なんともやるせない気持ちになる作品でもあります。
 北イタリアの端、トリエステにやって来た謎めいた女性イレーナ。部屋を借りて、その向かいの高級アパルトマンに仕事を探しに出かけます。何か明確な目的がある様子で、彼女は策を講じて、狙いを定めたアダケル家の家政婦に何とか納まります。
 ビジネスマンの夫に、金細工のアーティストの妻という裕福なアダケル家で、忙しい両親に代わって、難病を抱える幼いテアの子守に没頭するイレーナ。でも、なぜか彼女はマフィアのような男に追われていて、ある時、瀕死の重傷を負ってしまいます。
 実はイレーナは、かつてウクライナの売春組織で働いていた経験があって、その過去がフラッシュバックのように、細かいカットで挿入されながら、サスペンス風にドラマが進んで行くので、冒頭からぐんぐん引き込まれて行きました。
 イレーナがなぜはるばるトリエステにやって来たか、なぜアダケル家の仕事につきたかったかはだんだんにわかって来ますが、イレーナが断ち切りたかった辛い過去、そして、当時の悲惨な生活の中で彼女が見つけた唯一のきらめきとその顛末が、ドラマに厚みを出しています。 
 「ニューシネマ・パラダイス」や「マレーナ」など今までのトルナトーレ監督の作品とは全く違うタッチの映画なので意外性もあるし、ヨーロッパの裏社会で行われている震撼とするような取引きが大きな伏線となっている所がミソではないでしょうか。事実を元にした書いた脚本かどうかは不明ですが、充分にありえそうな退廃的な背景と、その中でわが身を犠牲にしながら、つかの間の真実の愛を見つけたヒロインに胸が熱くなる作品です。 
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by cheznono | 2007-10-09 01:12 | 映画

b0041912_082836.jpg この春、フランスのメディアは、この映画の話題で持ち切りでした。まゆ毛を全部抜き、額の髪をそって熱演した主演のマリオン・コティアールが、素晴らしかったです。エディット・ピアフはフランス版美空ひばりのような人という認識しかなかった私ですが、この作品のお陰で、天性の歌唱力に恵まれた女性がたどった、太く短く数奇な運命を大まかにでも知ることができ、以来、「ばら色の人生」や「愛の讃歌」も以前とは少し違って聴こえるようになりました。
 映画はピアフがどん底の幼少期から、歌手としてデビューを果たすまでを、比較的丁寧に描いています。すさまじい環境での生い立ちはとても見応えがありました。
 パリの下町の貧しいカップルの子供として生まれ、父親はすぐに第一次大戦に出征してしまったため、母親は路上で歌ってはその日暮らしをする毎日。 戦争から戻った父親が母娘の惨状を見かねて、ピアフを連れて郷里に戻ります。幼いピアフを冷ややかに迎えた祖母は、なんと娼館の経営者。父親はまたどこかへ消えてしまいますが、娼婦の一人がピアフを実の子のように可愛がってくれたため、孤児のようなピアフはつかの間の安らぎを感じます。
 そこへふらりと父親が戻って来て、嫌がるピアフを連れ、父娘大道芸人として流浪の旅を続けます。やがて、パリに戻ったピアフは、母親と同様に街角で歌っては日銭を稼いではテキトーな暮らしを送りますが、その歌唱力に目をつけた名門クラブのオーナー(ジェラール・ドパルデュー)が彼女を自分の元でデビューさせる決心をします。ピアフが20歳の時でした。
 この辛い生い立ちが彼女の性格を決定づけたと言われていますが、まだピアフの関係者も存命なため、この作品には賛否両論があるようです。ピアフの秘書だった女性は、本物のエディット・ピアフは映画の人物像とはかなり違っていて、もっとエキセントリックで人を蹴落とすのにも躊躇しなかったと苦言を呈したと聞きます。でもまあそれはそれで、ピアフの伝説はこのままで良いんだよと言ったような感想も多いでしょう。
 デビューを果たしてからも苦労は続き、大スターになっても事故や悲劇に見舞われて、次第に身体がボロボロになって行くピアフですが、晩年の代表歌「私は何も後悔しないわ(邦題:水に流して)」を貰って、これこそ今の自分が一番歌いたかった歌と喜ぶピアフが印象的でした。あれだけ苦労を重ねても、「いいえ、私はいっさい何も後悔しないわ、代償も払って一掃したから、もう忘れたわ、過去なんてどうでもいいの、私はまたゼロから始めるのよ」と歌うピアフ。
 私もこの歌がすごく好きです。歌詞にはフランス的なご都合主義が匂わないではないけれど、この歌を聴くと元気が貰えます。47年間の生涯に何人分もの運命を一人で生き抜いたようなピアフが歌うからこそ、「いいえ、私は何も後悔しないわ」の深みが心を揺さぶるわけですが、ごく普通の人生であっても、こういう気持ちでいられたらと、この曲を聴く度に願っています。 
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by cheznono | 2007-10-01 01:36 | 映画