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ブロッコリー騒動

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 潮風薫る5月の夕刻、ネグレスコホテルに近いアパルトマンでブロッコリーを食べようとした時に、事件は起こりました。
 その時は友人が紹介してくれたマダムが一人で住むアパルトマンに、ホームステイというか貸し部屋のような感じで滞在していて、キッチンはマダムとコロンビア人の女医さんの卵と共同で使っていました。
 その日、他の二人が外出していたので、悠々とブロッコリーや赤ピーマンをカットして、スープの用意をしていたところ、運悪くマダムが帰宅して、キッチンに入って来たとたんに、私の手元を見て叫んだのです。
「ちょっと!まさかあなた、私のうちでカリフラワーを料理するんじゃないわよね?」
「カリフラワー?これ、ブロッコリーですけど。」とつぶやいた私の言葉を全く無視して、マダムは騒ぎ立てます。
「イヤだわカリフラワーなんて!うちの家族はね、カリフラワーの匂いが耐えられないのよ。カリフラワーを煮る時ってとんでもない悪臭が出るのを知ってるの?」
目の前の鍋のお湯がもう煮立っているのに、カットしたブロッコリーを見つめ一瞬固まってしまった私ですが、「これ、ブロッコリーで、茹でても別に大した匂いはしないと思いますけど?」と冷めた声で返しました。
 しかし、マダムは、ブロッコリーもカリフラワーと同じようなものだと主張し、「子供の頃、カリフラワーを茹でる時はね、家中の窓を開け放して、家族みんながキッチンから逃げ出したくらいなのよ。それをここで料理されるとは、全くねえ。」といかにも嫌そう。因みに彼女のキッチンには海が少し見えるテラスが付いていて、大きなサッシはいつも開け放してありました。
 マダムはそれまでも、自分の思い込みや気に入らないことに関して、フランス女性にありがちな大げさな騒ぎ方をする傾向があったのですが、カリフラワーとブロッコリーでは色も食感も味も全然違うし、今ここでブロッコリーを諦めたら、この先3ヶ月の滞在中、私は二度とブロッコリーを調理できなくなってしまいそうです。
 沸騰するお湯の中にブロッコリーを入れるべきがどうか迷い、とまどっていた私がふと気がつくと、キッチンの入り口で仁王立ちするマダムの手に、ピンクのルームスプレイが握られているではないですか。それ、もしかして、普段はトイレに置いている甘ったるい香りの消臭スプレイでは?つづく
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by cheznono | 2008-01-29 01:40 | いつもの暮らし

不思議なフランス人

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 東京のスーパーで一つ1ユーロ以上もするブロッコリーを買うのは一ヶ月に一度くらいの私ですが、フランスの友人の間では、なぜかブロッコリー好きで通っています。
 レパートリーの少ない私が、手軽に調理できる緑野菜というと、なんてったって栄養たっぷりのブロッコリーが一番だし、フランスでは初夏しか市場に並ばないアスパラガスに比べて、ブロッコリーは比較的いつも手に入るのが便利です。
 フランスのスーパーの野菜は、量り売りが中心ですが、一つ売りの野菜も混じっていて、ブロッコリーはその辺がお店によって微妙な野菜の一つ。ニースのスーパーのレジで、うっかり1つ売りと思い込んでブロッコリーを計らないままカゴから出したら、レジのマダムが変な顔をしてブロッコリーを持ち上げ、「これって何?」って聞くではないですか。何って、「ブロッコリーですけど、もしかして量り売りでした?」ってアセった私に、レジのパネルとブロッコリーを見比べていたマダムは、「そうね、ブロッコリーなら量り売りね。」
 レジの後ろに並ぶお客さんの冷たい視線に目を伏せながら、大急ぎでブロッコリーを計りに野菜売り場に駆け戻った私ですが、スーパーの店員さんがブロッコリーも知らないでレジを担当してるなんて!?
 エクサン・プロヴァンスに出かけた時、旧市街のはずれの大きな生地店でプロヴァンス生地を探しても見つかりません。感じの良い店員さんに、「ここはプロヴァンス生地を扱ってないんですか?」と聞くと、マドモワゼルはちょっと考えてから、「これじゃないの?」と似ても似つかない厚い生地を指しました。
 一瞬、私と顔を見合わせた同行の友達が、「プロヴァンス生地ですよ、セミとかひまわりとかラベンダーとかの柄が入っている布地があるでしょう?」と助け舟を出したところ、首をかしげたマドモアゼル店員さん、「実はプロヴァンス生地は?って聞かれたのはあなたで二人目なんだけど、見たことなくて。。ちょっと先輩に聞いて来ます。」と言うと、奥に消えて行きました。
 エクスは小さい町とは言え、プロヴァンスの主都。どこを歩いても観光用にいくらでもプロヴァンス生地の商品が目に付くのに、生地屋の店員がプロヴァンス生地をご存知ない。大部分の人は、フランスのエリート精鋭主義からはずれているにしても、いったい一般常識はどうなっているのでしょうか? 
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by cheznono | 2008-01-23 01:42 | 不思議の国フランス

やわらかい手

b0041912_0591287.jpg 年末から気になっていた映画「やわらかい手」を先日やっと観て来ました。かつてローリング・ストーンズのミューズだったというマリアンヌ・フェイスフルの圧倒的にリアルな演技が素晴らしい作品でした。若い頃の写真とは全く別人に見えるマリアンヌ・フェイスフルですが、「マリー・アントワネット」の母親役や「パリ、ジュテーム」にも出ていたんですね。
 ロンドン郊外の小さな町に暮らす主婦マギー。愛する一人息子の幼い子供が難病に苦しんでいるため、亡夫と暮らした家も売り払い、今は小さいテラスハウスでつましい毎日を送っています。
 マギーも息子夫婦も持ち金を全て孫の治療費に使って来たけれど、かわいい孫の容態は悪化するばかり。1ヶ月以内にオーストラリアへ渡れば、手術で救われる可能性が高いと医者に勧められたものの、多額の渡行滞在費用を工面できません。
 50代後半の専業主婦マギーは、職探しをしても断られるばかり。ふと見かけたホステス募集に興味を持つのですが、そこはソーホーの風俗店でした。同世代のオーナーに仕事内容の説明を受けて絶句するマギー。でも、この話を受ければ高給が貰え、孫一家を治療のためにオーストラリアに送り出すことができるかも知れません。
 日に日に衰えてゆく孫の様子に焦りつつ、覚悟を決めたマギーが、壁にあいた穴のこちら側で、男性客たちの顔を見ずに手だけで奉仕する仕事を始めると、意外にも瞬く間に彼女は売れっ子となってしまいます。この分なら、孫に必要な費用を捻出できる。自信を持ったマギーは列をなす客を次々にこなして行くのですが、不器用な彼女は、近所の主婦仲間や息子にロンドンで見つけた仕事についてテキトーにごまかして説明することができません。
 前借した大金を渡航費用にと渡され、喜んだ息子夫婦でしたが、金の出所を怪しんだ息子に風俗店で働いていることがばれてしまい、マギーは窮地に陥ります。
 ラッキーホールといわれるこの手の風俗は、日本が発祥の地だそうで、ソーホーのオーナーも日本からヒントを得たと言ってましたが、今は欧州で人気で、日本ではすたれているらしいですね。
 愛するものの命がお金次第で助かると宣告された時、低所得者には選択の余地が殆どないわけで、マギーの逡巡と潔さをマリアンヌ・フェイスフルがすごく自然に表現しています。マギーが親しくしていた主婦仲間たちが、彼女の仕事について知った時の反応も、対面を重んじるイギリス社会の典型的な一面をリアリティいっぱいに描いていて、面白かったです。
 全体に現実感のある描写の中で、ラストの展開はやっぱり映画的な感じがしましたが、でも地味に生きてきたマギーが見つけた思いも寄らない勇気と自信と、そして新たなスタートに応援の拍手を送りたくなるような作品でした。 
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by cheznono | 2008-01-18 02:03 | 映画

フランスの健康作戦

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 農業国フランスでも野菜離れは深刻みたいで、このところ政府の鳴り物入りで、健康のために野菜を食べようキャンペーンがはられています。いわく、毎日少なくとも5種類の野菜やフルーツを食べましょう!
 日本人は一日30品目を食べるように毎日努力していると言うと、たいていのフランス人は目を丸くするし、「どうしてそんなことが可能なのか?」と聞かれることもたびたびです。「おしょうゆやオリーブオイルも数えるから、そんなに難しくないよ」と言うとちょっと安心するようですが、食の国と言われる割には、なるべくいろいろな食品を取るという意識に欠けているフランス人が多い印象です。
 アビニョンの友人と一緒に、がん治療のために入院している女性を見舞ったことがありますが、その人の病室は8畳くらいの個室で、TVやシャワー付きでした。この入院治療費に関して、彼女の個人負担はわずかで、大部分は国の健康保険で賄えるとか。入院費の他に多額の差額ベッド代を請求される日本とはえらい違いですね。まして、マイケル・ムーア監督の「シッコ」に象徴されるアメリカの現実とは比較にならないでしょう。
 しかし、いずこも同じ高齢化が進む社会で、毎年増えてゆくお年寄りや病人の治療費を、税金など国家予算でカバーできなくなる日はそう遠くないと、危機感を覚えたフランス政府が、国民が病気にならないように、ともかく健康意識を高めるべく、今さらながら野菜と果物奨励キャンペーンを始めたようです。
 インフレが忍び寄る中、折りしも野菜やフルーツの値上がりが問題になっているフランス。食費節約のために毎日パスタやご飯しか食べられないと嘆くパリジャンのコメントが、妙に身につまされた私ですが、これは歴史的な円安ユーロ高のせいが大きいかも。
 フランスの医師が、特にがん予防のために有効な野菜3種をなるべく食べるようにと勧めていました。まず、ガーリック。そして、たまねぎとピーマンだそうです。私はにんにくを包丁の背でつぶして食べるようにと教わりましたが、最近、にんにくは摺って食べないとあまり薬効がないと聞きました。本当でしょうか?  
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by cheznono | 2008-01-13 01:57 | いつもの暮らし

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 購買力が落ちているのにインフレが始まっているのが心配されるフランスですが、一般家庭がクリスマスのプレゼントのために使う予算は、平均で312ユーロ(5万円強)と試算されています。 
 でも、せっかく家族や友人から貰ったクリスマスプレゼントでも開けてみると、サイズが合わない、気に入らない、電源を入れても動かない、などがっかりすることもしばしば。それが親しい家族からのプレゼントならば、正直に事情を話して、贈り主から領収書を預かって、買ったお店で交換してもらうことができるので、クリスマス明けのデパートのサービス窓口は、交換希望のお客であふれているそうです。
 しかし、貰ったプレゼントにがっかりしたから交換したいと言える関係は、誰しもそうそう多くないし、かと言ってこのまま使わないのももったいないからと、そこで活躍するのがネットオークション。つい数年前まで、せっかくクリスマスにもらったプレゼントをネットで売ってしまうのは、モラル的に抵抗が強かったというフランス人ですが、最近はもうイブの夜中から、ネットのオークションサイトには次々に歓迎されなかったプレゼントが並び始めます。
 2007年のクリスマス以降、フランスの大手オークションサイトに売りに出されたプレゼントは、去年よりいっきに50%も増えたとか。品物はまずDVD、CD、そして、洋服、本、 インテリア小物などで、贈り主は、お姑さんなど義父、義母がトップ。これはまあ、趣味の全然違うセーターなどを贈られて、途方に暮れるたりすることがありがちな気もします。でも、実の両親からの贈り物もほぼ同じ割合で出品されるらしいから、やっぱり親といえども、子供の好みをつかむのは意外に難しいのかも知れませんね。
 それにしても、あんなに皆んな時間とお金をかけて、贈る相手顔を思い浮かべながらプレゼントを選んで、たくさん買い込むのに、面白くてやがて悲しきクリスマスプレゼントの行く末。サンタが届けてくれる筈のプレゼント伝説はおろか、年に一度の大イベントも消費社会の虚しさに色づけされているような寒々とした気持ちになってしまう年明けです。
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by cheznono | 2008-01-07 18:13 | 不思議の国フランス

ゼロ時間の謎

b0041912_1124134.jpg 「奥さまは名探偵」に続く、パスカル・トマ監督のフランス版アガサ・クリスティもの第2弾は、ブルターニュの海岸にそびえるカモメ荘を舞台に繰り広げられるサスペンスで、なかなか見応えがありました。主人公を演じた私の好きなメルヴィル・プポーの新しい側面が見られたことも収穫です。
 でもこの作品、確か高校時代に「カモメ荘殺人事件」という邦訳を読んだ記憶があるのに、ストーリーを全く覚えていませんでした。
 テニスプレイヤーのギョームは、若い妻を伴って富豪の叔母が暮らすカモメ荘に向かいます。ギョームはなぜか前妻のオードも呼んでいるため、新妻キャロリーヌの機嫌は最悪。カモメ荘で車椅子生活の叔母カミーラも、はすっぱなキャロリーヌが気に入らない様子です。
 わがままで品のないキャロリーヌに対して、知的でどこか陰のある前妻オード。嫉妬深い新妻にうんざりのギョームは、オードとよりを戻したいと考えているようですが、いずれギョームが相続するであろう財産に目のくらんでいるキャロリーヌは、夫がオードに近づくのを阻止すべく、やっきになっています。
 昔からオードに惹かれている親戚のトマと、キャロリーヌの男友達のフレッドも交え、美しい大西洋を目の前に、誰もがそれぞれの思惑で虎視眈々と様子を伺いながらも、ヴァカンスを楽しむ訪問客達。
 そんな中、カモメ荘の夕食に呼ばれた叔母カミーラの古き友人弁護士が心臓麻痺で急死したことから、物語は人間模様からいっきにサスペンスへと展開して行きます。
 フランスでの公開後、間を置かずに日本でも公開されたところからみても、クリスティは今も日本でとても人気があるのでしょうね。入り組んだ人間模様と各自の思惑を短い上映時間の中に詰め込んだ割には、よく消化されている作品だと思います。フランスの国民的人気歌手、ジョニー・アリデイと人気女優ナタリー・バイユとの間の娘、ローラ・スメットが、わがままでヒステリックなキャロリーヌ役をやり過ぎでは?と思うくらいに熱演していますが、どうも顔立ちが東洋的なのが不思議です。目元はお父さんにそっくりだし、顔の半分はお母さんの面影が濃いのに、どこかアジア系に見えるのはなぜでしょう? 
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by cheznono | 2008-01-01 02:10 | 映画