<   2008年 11月 ( 5 )   > この月の画像一覧

DISCO ディスコ

b0041912_202936.jpg  今週は久しぶりに明るいフランス映画を観ました。ノルマンディーの港町レ・アーブルを舞台に、往年のディスコキング:ディディエとその仲間達が繰り広げる踊るコメディ「DISCO ディスコ」。懐かしい70年代のダンスミュージックとともに、景気の悪さや日常のうっとうしさを吹き飛ばすかのように元気をくれる愉快な映画でした。フランク・デュボスクとジェラール・ドバルデューの大げさな演技が苦手という人以外は、文句なく楽しめる作品でしょう。
 ウォーターベッドのセールスに手を出したディディエ(フランク・デュボスク)は、詐欺商法にひっかかって、失業。借金を抱え、やむなく母親の家にパラサイト状態の40歳。一人息子を連れてイギリスに帰ってしまった元妻から「今年の夏は、息子をレ・アーブルに送り出せない。どうせあなたは子供にまともなヴァカンスを味合わせてくれないから」という手紙を受け取り、どっと落ち込んでしまいます。
 一方、昔、今や伝説となっている人気ディスコを経営していたジャクソン(ジェラール・ドバルデュー)は、愛人と一緒に夢よ再びと、ディスコ:ジン・フィズの再開を決めたばかり。かつてのようにダンスコンテストを企画して、店を盛り上げようと張り切っていました。
 ダンスコンテストの一等賞は《オーストラリア旅行にペアでご招待》と聞いたディディエは、英国在住の8歳の息子のために何とか昔の仲間を説得。三人でコンテストに挑戦すべく、ダンスの特訓を始めます。
 20年前、ディディエと二人の相棒は、ジャクソンのディスコのダンス王トリオだったのですが、今やサタデーナイトフィーバー踊りは、時代遅れで、ちっとも受けません。ならば今風の振り付けを身につけなくてはと、ダンススクールを訪ねたディディエは、NY帰りの美人先生フランス(エマニュエル・べアール)に一目惚れ、でも、彼女の専門はクラシックバレエなのでした。果たして、ディディエは、愛する息子のためにオーストラリア旅行を勝ち取ることができるでしょうか?
 
 フランク・デュボスクは踊れる中年俳優で有名ですが、そのディディエと中年トリオを組む、かつての仲間二人もあっというような踊りを披露してくれます。港湾労働者でストを決めた組合のリーダー:ウォルターと、女房の尻に敷かれながら、大手家電店で昇進試験に臨むヌヌイユ。二人とも自分の生活で必死なのに、ディディエの息子とのヴァカンスのために、一肌脱ごうとダンスの特訓に励んでくれるし、三人とも純情な所がなかなか魅力です。
 愛人に愛想を尽かされたジャクソンが「風邪と同じで、何度恋をしても免疫ができないんだ」と嘆くセリフも印象的。
 ヌヌイユの勤める大型家電店ダーティは、フランス中どこにでもあるチェーン店。サルコジ大統領の次男が、21歳の学生にしてフランス一裕福な町と言われるヌイイ市の議員に選出され、同い年のダーティの令嬢と早くも結婚したことで、話題を巻きました。ニュー貴族と呼ばれる彼ら超お金持ち同士の結婚は、格差の顕著な社会で,富裕層が結婚で二乗になり、更なる富豪へ近づく図式を見せつけられるよう。そのダーティの宣伝があちこちに目立つこの映画、ダーティが結構な予算を出したから脇役まで豪華キャストの出演が実現したのかなと、ちょっとうがってしまいます。
 とはいえ、自信を持ってお勧めできるコメディであることには変わりありません。
[PR]
by cheznono | 2008-11-29 02:01 | 映画

消える郵便物

b0041912_134901.jpg
 イギリスからの船便は、8ヶ月後に到着しましたが、ではフランスの郵便小包は毎回無事に届くでしょうか?フランスの郵便局を通過する小包は、一年で約2億6000万個。そのうち、途中で蒸発してしまう小包は約150万個。確率的にはまあ低いけど、毎年150万個の郵便小包が消えてしまう現実は、利用者を憂鬱にしますね。
 特に盗まれる可能性が高いと言われているのは、CDやDVD入りの小包や食品。CDやDVDは、正方形の箱の大きさからわかり易いし、需要が多いから転売し易いのでしょう。食品の見本を世界中に発送している友人も、郵送中に消えてしまうことが多いのを嘆いていました。
 フランスで日本宛に小包を出しに行くと、毎回のように「書留にする?保険はつける?」と聞かれるのは、こうした背景があってのこと。フランス国内宛も大事な書類や小包は、書留にすることを勧められますが、相手が無事に書留郵便を受け取ったかどうかのお知らせも、有料です。お知らせ通知を希望する場合、書留料金+お知らせ通知料金が徴収されるので、結構痛い。きちんと配達してくれるのが、郵便局の務めと信じている私にはどうも釈然としません。 
 お届け通知に丸をするだけで、相手に配達されたかどうかを葉書で知らせてくれる日本のゆうパックのシステムは本当にありがたいです。
 
 何年か前にスペイン在住の日本人から「国境を越えてフランスに旅行した時、郵便局のテキパキとした信頼できる対応に感激した」と聞いた時、いったいスペインの郵便局ってどんな仕事ぶりなのかなと首を傾げたものですが、イタリア在住の人も、イタリアの国際郵便は全く当てにならないから、日本に商品を送る際は高くても必ずDHLを使うと言っているし、こうした隣国に比べれば、フランスの郵便事情は結構ましなのかも知れません。
 ある時、トウールーズの本局の郵便窓口で数人しか並んでいないのになぜか業務が進まず、30分以上待たされていたら、いらいらしていた前のマダムが「どうなってるの?いったい。冗談じゃないわ!」と怒り出しました。その前のムッシュウが笑って「しょうがないよ、彼ら公務員だもん」となだめると、マダムはキッと睨みつけ「あら、私だって公務員だけど、職場ではテキパキ働いてるわよ。こんなに待たせるなんて、とんでもないわ」ムッシュウは口をつぐんでしまったのでした。
  日本より一足遅れて、2年後の郵政民営化の実現に揺れているフランスでは、郵政職員や民営化反対派による抗議デモが断続的に行われています。民営化されたら、公務員だからと言われて来た体質が変わるでしょうか?でも、民営化後はますます無事に郵便が届かなくなるのではないか?と心配する利用者も少なくないようです。

 写真はプロヴァンスの鷲ノ巣村の郵便局。住民の少ないこうした村々の郵便局は、局員が曜日を決めて、巡回営業しているとか。日本も民営化で採算の合わない局を閉めるのではなく、週に2日づつとか回り持ちで営業を続ければ、地元の人は助かるでしょうに。
[PR]
by cheznono | 2008-11-22 13:51 | いつもの暮らし

レッドクリフ part-1

b0041912_1323163.jpg 今週の映画は話題の「レッドクリフ part-1」。群雄割拠していた3世紀初頭の中国で、魏・呉・蜀の光芒を描いた「三国志」をベースにした歴史スペクタクルは、私のように「三国志」を殆ど知らなくても、わかり易い構成になっているので、安心して観ることができました。ストーリーはシンプルですが、中国ならではの人海戦術を使った時代劇アクションと魅力的な登場人物たちが、この作品を見応えのあるエンターテイメントに仕上げています。
 長江の北部を平定した魏の曹操は、天下統一を狙い、大軍を率いて南部の蜀を治める劉備の軍を追い立てます。戦で逃げ惑う庶民を思う劉備の軍は、多勢に無勢で敗退。危急存亡の蜀を救うべく、劉備に仕える軍師・諸葛孔明は、呉の孫権に援軍を頼みに自ら呉に出向きます。
 若くて経験の浅い呉の孫権は、孔明の同盟の申し出にためらいますが、信頼する知将・周瑜の決断で、劉備軍と共に曹操を向かい打つ覚悟を決めるのでした。しかし、劉備+孫権の軍はわずか数万、対する曹操の軍は80万。迫る曹操軍を迎え撃つため、孔明と周瑜が編み出した戦略は。。

 敗戦となる冒頭の合戦で、関羽(関帝廟の主)や張飛の超人的な活躍が描かれますが、これでもかの残酷な戦いの連続にうんざりして、前半はちょっと憂鬱でした。でも、呉の周瑜(トニー・レオン)が登場した辺りから、物語は面白くなって来ます。
 天才軍師・孔明(金城武)と周瑜の間に生まれる共感と友情、周瑜と絶世の美女・小喬との仲睦まじい夫婦の姿、男勝りでお茶目な孫権の妹のいたずらなどが、丁寧に描かれて飽きさせません。白い鳩はジョン・ウー監督のトレードマークだそうですが、この作品でも鳥や馬、亀などの動物が随所に生かされていて、その点も気に入りました。
 そして、何よりトニー・レオンと金城武のイケメン二人がすごく良いのです。当初はトニー・レオンが諸葛孔明に決まっていたそうですが、急遽起用されたという金城武はインテリの天才軍師を見事に再現していて、芸域の広さを感じさせます。「昔、金城武は大根といわれてた」と同行の友達に聞きましたが、だとしたら、醜いアヒルの子のような変身ぶりかも。
 「レッドクリフ」を観た夜は、トニー・レオンの夢でも見られるかなと期待したけれど、あいにくトニー・レオンも金城武も夢枕に現れず、残念。 
 戦フェチのような魏の曹操は、周瑜の美人妻・小喬(リン・チーリン)に横恋慕して、呉征服に食指を伸ばしたことになっていますが、台湾出身のリン・チーリン、本当にため息の出るような美女で、びっくり。傾城の美女とはこういう人を言うかと納得の美貌です。
 しかし、長江南岸の赤壁を水軍が埋めて、いよいよ映画はクライマックスかと思いきや、part-1は終わってしまいます。なーんだ、今回は時代背景などを紹介した序章に過ぎなかったのね。じゃあ、すぐにpart-2が観なくちゃと思ったら、公開は来年4月とか。このタイムラグでは、せっかく3世紀の中国に浸った頭がすっかり冷めてしまいそうで心配ですが、また是非会いたい周瑜と孔明なのでした。
[PR]
by cheznono | 2008-11-16 01:34 | 映画

イギリス郵便事情

b0041912_2247358.jpg
 毎年クリスマスのプレゼントを送ってくれるイギリスの友人からの小包が、去年の12月には届きませんでした。友人は11月末に、郵便局から船便で小包を発送してくれたそうなので、そのうち着くだろうと軽く考えていましたが、年が明けて2月になっても3月になっても届きませんでした。
 通常、英国からの船便が要するのは2ヶ月程度の筈。残念だけど、どこかで盗まれたか、紛失してしまったのでしょう。友人からは「まだ着かないの?」とか「かわいい傘を送ったのにどこにいったのかしら?」という問合せが何度かありましたが、ゴールデンウィークが過ぎても傘は届かず、もうすっかり諦めて、私は渡仏してしまいました。フランスからならともかく、英国からの郵便が途中で消えてしまったのは初めてで、残念ですがまあ仕方ありません。
 で、ニースの焼け付くような日差しにうんざりしていた7月、東京の家から「ついにイギリスからクリスマスプレゼントが届いたよ」との連絡が。えっ!友人が発送してから8ヶ月余り。その間いったいどこの洋上をさまよっていたのでしょう?ともあれ、無事に届いて良かったです。
 早速、友人にプレゼントの到着とお礼を伝えたところ、彼女はちょっと当惑ぎみに「あら、それなら郵便局にお金を戻しに行かなくちゃ」と言うではないですか。なんと彼女は小包未着のため、郵便局に送料の返金を請求して、既にお金を返してもらった後でした。
 日本でもフランスでも、海外からの郵便物の紛失や破損について、保険に入っていない限り保証はしてくれませんが、イギリスでは保険なしの郵便物でも送料を返金してくれるなんて、たいしたものです。
  そういえば以前、私が送った日本人形が一部壊けて着いた時も、彼女は地元の郵便局に行って、日本から届いた人形が少し壊れていたのは、郵送中の取り扱いが悪いからとクレームをつけて、郵送料の一部を保証してもらったと言ってましたっけ。郵便代はもちろん日本の郵便局で私が支払ったのに、中身が少し壊れていたからと、受け取り先のイギリス側で郵送料を返金したロイヤルポストは、ずいぶん太っ腹だと感心したものです。
 普段はとても優しい友人ですが、もしかすると郵便局では苦情顧客リストに載ってしまっているかも知れません。
 写真は、コッツウォルズのバーンスリーハウスの庭。年月をかけて作られたイングリッシュ・ガーデンが世界中から見学者を呼んでいて、17世紀のコテージを利用したB&Bも人気です。
[PR]
by cheznono | 2008-11-08 23:02 | いつもの暮らし

ロンドン塔の幽霊

b0041912_1493586.jpg
 今週は「ブーリン家の姉妹」をもう一度観て来ました。1回目は初夏にニースで友達に誘われるまま何の映画かも知らずにシネマに付いて行ったので、それまで全く知らなかったメアリー・ブーリンの存在がすごく新鮮でしたが、今回じっくり観たら、記憶にある以上に人間の欲望むき出しの貴族生活が描かれていたので、結構疲れました。
 ヘンリー8世は、アンの処刑の後5、6年して、やはりロンドン塔で3人の女性を処刑しています。プランタジネット家最後の末裔だったソールスベリー伯爵夫人、5番目の王妃でアンやメアリーの従姉妹に当たるキャサリン・ハワード、そしてブーリン姉妹の弟ジョージの奥さんで、映画でもアンと夫との近親相姦を密告したジェーン・ブーリンです。
 ソールスベリー伯爵夫人は、最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの味方についたため、キャサリンの死後何年も経ってから、王への反逆罪で幽閉されて、処刑。その頃、50歳のヘンリー8世は、娘メアリーより若いキャサリン・ハワードに夢中になり、「棘のない僕のバラ」と呼んで可愛がったのに、奔放なキャサリン・ハワードは若くてハンサムなかつての恋人などと浮気。それが王の知れることとなって、姦通罪で拘束され、ロンドン塔に幽閉の後、処刑され、アンの義妹にあたるジェーン・ブーリンは、王妃キャサリンの浮気の手引きをした罪で、同じく処刑されてしまいます。
 ジェーンは、アンと夫ジョージとの近親相姦的関係を見たと言ったのは偽りだったと、処刑直前に告白したそうですが、ジェーンにしてもアンの弟と政略結婚させられた上、夫とは冷めた間柄だったから、嘘の告発へと暴走してしまったのでしょう。
 ヘンリー8世の右腕として活躍し、イギリス国教会への改革の中心だったトーマス・クロムウェルも、アンとメアリーの叔父で野心家のノーフォーク公にはめられ、謀反の疑いで斬首されています。
 こうやってみると、ヘンリー8世がアン・ブーリンと恋に落ちたことから全ての歯車が狂い始め、正妻キャサリン・オブ・アラゴンの離婚とブーリン家につながりのある人が、次々に不幸な結末を迎えた感じですね。この頃のイギリス王室のどろどろぶりはフランス王室の比ではないかも知れません。
 斬首された人々は幽霊となってロンドン塔に出没するらしいですが、特に首なしアン・ブーリンの幽霊が、手に自分の首を持って現れる頻度が高いとか。ヘンリー8世の居城だったハンプトンコートは、キャサリン・ハワードの幽霊の叫び声が有名です。ロンドン塔もハンプトンコートも昼間に行ったことしかありませんが、夜中に歩くのは相当な勇気がいりそうですね。
[PR]
by cheznono | 2008-11-04 01:50 | 映画