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b0041912_117558.jpg  今回もレビュー掲載がとっても遅くなりましたが「ソーシャル・ネットワーク」、すごく面白い映画でした。さすがデビッド・フィンチャー監督!
 この作品が昨秋フランスで公開された時、それはそれは話題になったのに、フェイスブックやってないし、IT青年の成功談なら観なくても良いかなって思ってしまった自分がいかに浅はかだったことか。
 フェイスブックに興味がなくても、SNSはmixiで充分でも、引き込まれること受け合いの作品です。

 2003年、ハーバードの学生で19歳のマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、やっとできた可愛いガールフレンド:エリカにあっさり袖にされ、憤然として大学寮に戻って来ます。  
 ふられた腹いせに、エリカの悪口を自分のブログに書き連ね、その上ハーバードの女子学生の容姿をランク付けするサイトを作ったため、当然女子からは総スカン。でも男子学生達をわかせます。
 その才能に目をつけたボート部の花形双子ウィンクルボス兄弟(なんと北京五輪では6位に入賞)に、学内の男女交流サイト作りに協力してほしいと頼まれたマーク。いったんは承諾するものの、何かと言い訳していっこうに作業を進めようとしません。 
 実際には双子達のアイデアを元に、親友のエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)に出資を頼りながら、フェイスブックの作成に没頭していました。
 ハーバードの学内交流サイトとして立ち上げたフェイスブックは、たちまち爆発的な人気を呼び、やがて他大学の学生達も参加する交流サイトに成長。共同創始者としてエドゥアルドも資金集めや営業に尽力します。
 しかし、二人がネットの音楽配信サービス:ナップスターで成功を治めた青年実業家ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)に出会ったことから、マークとエドゥアルドの間に溝が生じます。

 マークを上回る誇大妄想的なショーンにすっかり取り込まれたマークは、大風呂敷にも聴こえるショーンの提案に乗って、フェイスブックを世界的な規模に拡大させるべく突き進み、結果としてエドゥアルドを手ひどく裏切ることに。
 怒ったエドゥアルドはフェイスブック創業者の一人として復権を要求。一方、双子のウィンクルボス兄弟からは、企画を盗用されたと告訴され、マークは両者と裁判で争うことになってしまうのでした。

 頭は抜群に切れるけど、極めて偏った頭脳の持ち主で、社会性に欠け、相手とうまくコミュニケーションを図れない若者が、女の子にふられたのをきっかけに、ネット上での自己実現を目指して大成功。少しもフレンドリーでないマークが作ったサイトが、世界をつなぐコミュニケーションサイトだったというのがいかにも現代的です。
 ネット社会の申し子が作り上げたのは、人間関係のこれまでにない新しい形だったけれど、世界中の膨大な参加者を得た後、二つの訴訟を抱えても尚、社会性を身につけられない主人公の孤独な横顔にほろりとさせられます。
 
 ボート部の屈強な花形選手:ウィンクルボス兄弟が、自分たちが暖めて来たアイデアを登用したマークに一矢を報いたいのはやまやまだけれど、伝統あるハーバードの学生はこうあるべきという自らの倫理観との間で逡巡する姿も印象的です。ハーバード大学はクラブに入会するにも条件があって敷居が高く、何度も面接をクリアしなくてはいけないし、所属するクラブによっても優劣があるなんて、エリート達の学生生活はシビアですね。
 今26歳のマーク・ザッカーバーグ氏は、新しいガールフレンドと幸せそう、と報道されていましたが、億万長者とはいえ、まだ生々しい訴訟の内幕などプライバシーを容赦なく映画化されて、いったいどんな気持ちでいるのしょう?
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by cheznono | 2011-02-19 01:18 | 映画

しあわせの雨傘

b0041912_114736.jpg 原案はフランソワ・オゾン監督が10代の時に気に入った芝居をいつか映画化したいと暖めて来た戯曲で、2007年の大統領選における社会党の美人候補セゴレーン・ロワイヤルに対する女性蔑視的扱いに疑問を感じたため、女性応援歌のような気持ちで製作したという「しあわせの雨傘」。
 ヒロインのシュザンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、容姿も性格もロワイヤル候補とは似てませんが、彼女を運命の女性と信じる共産党系市長モーリス・ババン(ジェラール・ドパルデュー)は、フランス労働組合代表のベルナール・チボー氏と年齢こそ違うものの雰囲気はそっくり。
 ジェラール・ドパルデューは、これまでに7回ドヌーブと共演して、何度もカップルを演じて来た仲。「僕はカトリーヌに夢中になったけど、でも一度も手は出してない。カトリーヌはまるで戦士のようで、男だったら理想的な性格」なのだとか。
 ドパルデューがあそこまで太ってしまったのは、やはり息子ギョーム・ドパルデューを失った哀しみとストレスのためでしょうか?「自分の性格のせいでギョームとうまく行かなかった、僕と違ってカトリーヌは皆に好かれるんだ」と雑誌のインタビューで語っていました。

 1977年、フランス北部の町に暮らすシュザンヌは、典型的なブルジョワ主婦。シュザンヌの父親の遺した雨傘工場の経営を引き継いだ夫ロベール(ファブリス・ルッキーニ)は 、妻は独自の意見など持つ必要はなく、夫の考えに従えば良いという亭主関白ぶり。
 保守的な母親を歯がゆく思う娘のジョエル(ジュディット・ゴドレーシュ)も既に二人の子持ちですが 「パパのお飾り的な妻に甘んじているママンと違って、私はもう夫に我慢できないから、離婚したい」と宣言して、シュザンヌを慌てさせます。
 その頃、雨傘工場の労働者達は、独裁者的社長のロベールに反旗を翻し、大規模ストへ突入。ロベールは従業員達によって社長室に監禁されてしまい、シュザンヌは、かつて互いに一目惚れしたババン市長に助けを求めに行きます。
 そんな騒ぎの最中、ロベールが心臓発作で入院。急遽、女性社長の座に着くことになったシュザンヌは、意外にも殺気立つ労働者達の気持ちをなだめ、雨傘のデザインに乗り気となった息子ローラン(ジェレミー・レニエ)とタッグを組んで、思いがけない経営手腕を発揮します。
 一方、ババン市長は、シュザンヌの息子ローランの父親は、ひょっとして自分ではないかという希望に心ときめかせます。30年間、おっとりした良妻賢母で、夫ロベールの飾り物的な存在に見えたシュザンヌだったのに、実は夫より一枚も二枚も上手だったりして?!

 1968年の5月革命から、劇的に女性解放への道を歩んで来たと言われるフランスですが、実際には今もまだ一皮むけば男尊女卑な風潮が否めないという中、その性格や行動の賛否はともかく、大統領選初めての女性候補として47%もの支持を獲得したセゴレーン・ロワイヤル氏はたいしたもの。彼女が選挙運動中にかなりのセクハラ的攻撃を受けたのを、オゾン監督は苦々しく思っていたようです。
 70年代が舞台とは言え、現サルコジ政権への皮肉や批判が織り込まれているのも、フランスで大ヒットした理由の1つでしょう。
 ただ、この映画は女性への讃歌というよりも、ドヌーブ讃歌という感じのコメディに思えました。67歳とは思えないドヌーブの魅力がスクリーンいっぱいにはじけ、「8人の女」ほどではないにしても、歌って踊るシーンが楽しめます。
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by cheznono | 2011-02-04 01:03 | 映画