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最後のマイウェイ

b0041912_016832.jpg 死後30年以上経っても人気の衰えないフランスの伝説的歌手クロード・フランソワ。絶頂期に39歳でバスルームで謎の感電死を遂げたこともあって、今もフランスのTVでは繰り返しクロード・フランソワについてのドキュメンタリー番組が放映されています。

 これだけフランスでは愛された歌手なのに、なぜ日本では知られていないのか不思議でしたが、フレンチポップス花盛りの60年〜70年代、日本には主に女性歌手しか紹介されなかったのですね。

 これは、クロード・フランソワを全く知らない人や、「マイ・ウェイ」に興味のない人にもお勧めの、実に見応えのある、シネマの醍醐味が思い切り味わえる作品です。

 1939年、スエズ運河事業に関わる父親エメ・フランソワ(マルク・バルベ)とイタリア系の母親との間に生まれたクロード(ジェレミー・レニエ)は、エジプトで何不自由なく育ちます。
 しかし17歳の頃、ナセル大統領によるスエズ運河国有化に伴い、父親が失職。一家は政情不安になったエジプトを追われ、モナコに上陸します。
 豊かな生活から一変して、食べる物にも困るほど生活に窮した家族を支えるため、クロードはモナコやニースのクラブでドラマーとして働き始めます。
 そして、21歳で英国出身のダンサーと結婚。
 その頃、知り合ったブリジット・バルドーらに勧められ、パリに上京、歌手への道を模索します。
一方で、エジプトを追われて以来、失意のままの父親は、自分の期待を裏切ってポップミュージックの世界に入った息子を拒否し、死の床に着いてもクロードのことを許しませんでした。
 父親にバイオリンの上達をほめられるのを励みにしていた子供時代の思い出を胸に、クロードは生涯、父への片思いを引きずることに。
 しかも、ダンサーの妻はジルベール・ベコーの元に走ってしまいます。

 続けて身近な人を失ったクロードですが、「ベル!ベル!ベル!」が大ヒットして、一躍スターダムへ。敏腕マネージャー(ブノワ・マジメル)と組んだクロクロは、類いまれな音楽の才能に加えて、エネルギッシュでダイナミックなショーを披露、マスコミからは派手過ぎで軽薄などと酷評されますが、次々に新しい手法に挑戦しては観客を魅了します。

 25歳の時にまだ17歳のフランス・ギャル(ジョゼフィーヌ・ジャピ)と出会い、互いに夢中になったものの、3年後に破局。その経験をもとに書いた「Comme d'habitude(いつものように)」をたまたまフランスにいたポール・アンカが気に入り、後に全く別の詞をつけてフランク・シナトラに提供。それが世界的に大ヒットした「マイ・ウェイ」でした。
 クロードは自分の歌がシナトラによって歌われたことをすごく誇りに思い、亡き父親へのトラウマを克服するきっかけに。

 出版社を立ち上げ、自分のレコード会社を作ったりモデル事務所を経営したりとビジネスの才能も開花させたクロクロ。浮き沈みはあったものの16年間の歌手生活で500曲もの歌(オリジナルは約7割)を残し、英国を初め、国際的な歌手への道も開かれたかのようでしたが。。

 クロード・フランソワを直接知らない世代にも彼のヒット曲は人気があり、去年の3月に公開されたこの映画も大ヒット。「エディット・ピアフ」の時と同様、本人を実際に知る人々からは、事実と異なるとか、本当のクロードはもっとエゴイストでお金への執着も半端ではなかったなどの声が囁かれたものの、かなりの好評価でした。昨年の春に観た私ももう一度観るつもりでいます。

 何と言ってもジェレミー・レニエのなり切り方がすごい。ベルギー出身でダルデンヌ兄弟の「ある子供」や「少年と自転車」で無責任な父親役を好演したあのジェレミー・レニエがダンスや歌を猛特訓して臨んだクロクロ役は、まさに本人と瓜二つ。ここまでなり切ってしまうとクロクロとしてのイメージが強くなり過ぎて、次の役が来づらくなるのではと心配になるくらいです。

「最後のマイウェイ」公開を機会に、日本でもついにクロード・フランソワのベストアルバムが発売されたので、興味のある方は是非どうぞ。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF/dp/B00CCTU8TK
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by cheznono | 2013-08-03 00:19 | 映画