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17歳

b0041912_17203577.jpg 「危険なプロット」に次ぐフランソワ・オゾン監督の話題作「17歳」。確たる理由もなく売春に走る女子高生の話は、思春期の不安定さよりも、頭が良くメランコリックなヒロインの本人も説明のつかない心の闇が印象に残った作品でした。
 主演のマリーヌ・ヴァクトの妖艶な美しさは特筆すべきで、原題の《jeune et jolie(若くてきれい、あるいはかわいい)》が皮肉に聴こえるくらい。jeune et jolieなんて、フランスではたいていの若い女性や若く見える女性に使われる形容詞ですが、ものうげな表情が似合う23歳のマリーヌ・ヴァクトは belle、あやしいまでに美しく、まさに dame de beauté(美貌の女性)。
 フランスではリアリティに欠ける信じられない話と言う感想が目立ったのも、彼女の美しさがヒロインの行動の唐突さや不透明さをより非現実的に見せているからではないでしょうか?あえて現実味を薄くしたのはオゾン監督の作戦かも知れませんが。

 思春期の揺れる心理というよりも、かの東電OL事件を彷彿させるヒロインの心の闇と社会の隠れたひずみが印象的な映画です。

 インテリの母親(ジェラルディーヌ・ペラス)義理の父親(フレデリック・ピエロ)、そして弟と暮らすイザベルはカルチェ・ラタンにある名門校に通う17歳。家族で夏のヴァカンスを過ごす海辺でナンパされたドイツ青年と初体験を経験し、何の未練もなくパリに戻って新学期を迎えますが、同時にネット上に自らのセクシーな写真を載せて、客を募ります。
 普通の女子高生と放課後の売春という二足のわらじを履くイザベル。ある日、いつもの高級ホテルで常連の年配客ジョルジュ(ヨハン・レイセン)と会っていると、《お仕事中》に相手が心臓発作で急逝してしまいます。急いでその場を去るイザベルでしたが、これをきっかけに彼女の行動が両親に知られ、母親は半狂乱に。イザベルは精神分析医の元に通わされます。彼女は少しづつ自分の行動について精神科医に語り始めるのですが。

 途中、イザベルの高校の同級生達によるアルチュール・ランボーの詩「物語 Roman」の朗読が入りますが、これがとても良い。際立って早熟だった詩人の青春にヒロインの不可解な振る舞いを重ねていて効果的です。

「 性に目覚めた思春期の向こう見ずな行動」という解釈は私にはあまりピンと来なくて、東電OL事件との共通性が強く感じられた作品ですが、映画としてはかなり面白く鑑賞できました。
 イザベルの行動に一番理解を示したのは、馴染み客だったジョルジュの妻アリス(シャーロット・ランプリング)だったというのもオゾン監督らしい皮肉な、あるいはむしろ粋な演出と言えるのかも知れません。

「17歳」公式サイト:http://www.17-movie.jp
ランボーの詩:http://poetes.com/rimbaud/roman.htm
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by cheznono | 2014-03-24 17:21 | 映画