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ゴーストライター

ゴーストライター_b0041912_0575783.jpg ロマン・ポランスキー監督が昨年のベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した話題のサスペンス、「ゴーストライター」。大西洋に浮かぶ寒々とした孤島で展開するストーリーは緊張感にあふれ、まるで自分も殺伐とした島内にいるかのような気持ちにさせられます。
 「戦場のピアニスト」とは全く違う手法ながら、これも一種の反戦映画スリラーと言えるかもと思いながら、最後まで食い入るようにスクリーンを見つめていました。

 いつか本物の作家になりたいと願いつつ、ゴーストライターに甘んじている青年(ユアン・マクレガー)が、元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝を1ヶ月で書き上げるという仕事をゲットします。
 破格の報酬を約束されたゴーストライターは、アメリカの孤島にあるラング元首相の別荘に招かれ、ラング夫人ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)と秘書のアメリア(キム・キャトラル)の半ば監視下で、ラングについて取材を開始。
 しかし、元首相の忠実な右腕とも言われた前任者マカラが不可解な状況で溺死したこと知ったゴーストライターは、滞在先兼職場である別荘の居心地の悪さに加え、ラング自身とのインタビューでも違和感を感じます。
 そのラングは、イラク戦争中にイスラム系テロ容疑者を拷問にかけるべくCIAに加担した疑いがあると告発されていました。
 ケンブリッジ大学時代、政治には無関心だったというラングの言葉に矛盾を見出したゴーストライターは、前任者の死に深い疑問を抱くようになり、事実を探ろうとします。
 そして、かつては熱心な学生党員だった筈が、今や政治への関心よりも夫と秘書アメリアの関係に神経を尖らせているルースと心ならずも接近して行くのですが。。
 
 共同脚本も手がけた原作者ロバート・ハリスは、BBCの政治記者を経てトニー・ブレア元首相の就任中、首相の近くにいたという人物。だからこそ、アメリカに追随してイギリスをイラク戦争に巻き込み、多くの英国兵を犠牲にしたかどで告発されたブレア元首相をモデルにした政治スリラーには信憑性が感じられるような。。
 フランスではまるでブッシュのプードルと揶揄されたブレア氏、果たしてこの映画を観たでしょうか?

 ルースから女性関係のことを聞かれたゴーストライターが、過去に恋人以上パートナー未満の女性がいたと答えますが,うーむ?と考え込んでしまいました。原作では恋人も登場するそうなので、手にする機会があったら読んでみるつもりです。
by cheznono | 2011-10-05 01:10 | 映画