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ミディ運河

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 「赤ちゃんに乾杯」の監督コリーヌ・セローの最新作「サンチャゴ・デ・コンポステーラ..メッカ」という映画を観てきました。莫大な遺産を残して亡なくなった母親が残した遺書に、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラまで歩いて巡礼すれば遺産を相続させるとあり、昔から仲の悪い3人姉兄弟がイヤイヤながら徒歩巡礼ツアーに参加し、他の仲間と交流しながら何とか歩いてスペインへ向かう、という内容ですごく面白かったです。皆が汗だくで通過する各巡礼地の美しい風景も楽しめました。
 途中、ピレネー山脈の手前でミディ運河のほとりを歩く場面が出て来て懐かしかったです。世界遺産にも指定されてるこの運河は、17世紀にピエール・ポール・リケの発案で着工され、トゥールーズとボルドーの間を流れるガロンヌ河沿いを中心に、大西洋から地中海までをつなぐ270キロ、ヨーロッパ一の長さを誇ります。ルイ14世の武器管理人でもあったリケが国王の認可を貰って工事の指揮を取ったものの、当時としてはあまりの大事業に工事は遅々として進まず、才気と機知にあふれていた彼の情熱も人々に理解されなくて、結局ピエール・ポール・リケは財産を全てつぎ込んだ後、失意のうちに亡くなったそうです。ミディ運河が大西洋から地中海まで繋がったのは約100年後でした。
 それまで物の運搬は馬が中心の南フランスで、船で大量の品物が早く運べる運河の完成は画期的で、もともと農作物の豊かな南仏の経済を飛躍的に発展させたようです。プラタナスに囲まれた運河は心地よい散歩道。今も船が浮かび、船上レストランで食事を楽しんだり、トウールーズ-ボルドー間の船旅もできます。
by cheznono | 2005-10-25 01:52 | フランスの四季