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怪しい礼拝堂

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 国鉄の工事のせいでカンヌ行きを諦めた友達と一緒に一ヶ月ぶりに訪ねたマントンはハイビスカスも陰を潜めてすっかり冬支度。ミストラルのように強い海風の吹く凍える町と化していました。でも、カラフルでおっとりとした雰囲気の町並みがサンパなことに変わりはなく、寒さに震えながらも気持ちよく散歩できました。
 夕暮れ時、きつい階段を上って「コクトーが愛した町」でも書いたサン・ミッシェル教会とその脇の白色苦行会の礼拝堂を見学。ピンクの外壁が陽の光に輝く礼拝堂は、シャンデリアの輝きに照らし出された内部の装飾がとても豪華で、バロック時代の華やかさを今に伝えています。
 礼拝堂の見学者はに私達だけ。入口で絵葉書などを売る当番のムッシュウが近づいて来ました。年配で太目のムッシュウ、法衣は着ていないけれど教会関係者に違いありません。ニコニコしながら私達にマリア像のしおりをくれ、「裏にお祈りの言葉が入ってるからね」というので、まあご親切に、でも布教かしら?と思っていると、ささやくような声で顔を近づけてはいろいろ質問をして来ます。「どこから来たの?日本人はきれいだよね。どこに住んでいるの?」私の友達はすっかり気に入られている様子。でもなぜ消え入るような声でささやくの?お腹の突き出たムッシュウは続けて、「マントンはきれいな町でしょ?日本人の女性と同じできれいで魅力的な町でしょ?」と何だか怪しい方向に。そして友達に、「一人で住んでるの?それとも家族と一緒?」友達が一人暮らしですけどと答えると、「独身なの?それとも?」オーララ、出たよと思った私はムッシュウにお礼を言って、もう行こうよと早々に礼拝堂を後にして、外人墓地の丘へいっきに上って行きました。
 ムッシュウが20年若かったとしてもタイプじゃないという友達はげんなり。フランスではよくあるアプローチですが、大好きな礼拝堂の中で教会関係者のムッシュウにささやかれたのは異様な体験で、既に辺りは暗かったし人影もなかったため、友達は一人じゃなくて良かったとため息をついてました。名だたる観光地でも、シーズンオフの夕暮れ時の教会見学は用心しないといけないですね。
by cheznono | 2005-11-30 09:22 | コート・ダジュール散歩