伝統の海の祭り
2006年 07月 06日先日行われたニースの漁師のお祭りのハイライトは、浜辺で小船を燃やすことでした。古くからニースは海産業に頼って来た小さい町で、塩や魚をお金に変え、内陸側の産物であるオリーブオイルやワインを船でマルセイユやイタリアのジェノヴァに運んでは生活を立てていたようです。でも、漁民たちは食べるのがやっとで、漁師の一家は皆貧しい暮らしに甘んじていました。そうした貧しさが漁師たちの固い絆と連帯感を生み、毎年夏の初めに釣り人たちの聖人サン・ピエールに祈りを捧げるお祭りの際、彼らの中で一番貧しい漁師の傷んだ釣り船を燃やして、持ち主には新しい小船をプレゼントして来ました。これは、漁に頼る海辺の村ではよく行われた慣わしみたいです。
リゾート都市となった今もこの伝統は大事に受け継がれていて、もはや浜で焼かれるのは使い古された小船ではありませんが、今年も皆の見守る中、青い釣り船に火をつけて、その燃える船の周りをニースの民族衣装をまとったダンス協会の若い男女がぐるぐると踊って、海への感謝と祝福をお祝いしました。ただ、問題は砂利の浜辺で行われるため、せっかくそろったダンス協会の面々も手をつないで単純に船の周りを輪になって踊るだけで、いつものようなフォークダンスを披露してはくれません。ただ回るのがバカバカしくなったのか、途中で輪から外れて休憩してしまう人もちらほら。これではきれいな民族衣装姿がちょっともったいない。毎年のイベントなのだから、もう少し工夫しても良いのでは?とフランスで何かイベントがある度に思うのでした。