輝くニース港

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 カンヌやアンティーブの港に比べるとずっとこじんまりした印象のニース港。旧市街の城跡の丘の向こうにちょこっと納まっていて、サントロペに停泊しているような高級ヨットも少ないですが、今の季節は光に輝いてうっとりするほど美しく見えます。
 映画「輝ける女たち」の主人公の手品師は、15歳の時に泥沼化したアルジェリア独立戦争から逃れて、はるばる北アフリカからニース港にたどり着き、途方に暮れていた所をキャバレー《青いオウム》のオーナーに拾われ、芸人に育て上げられたという過去があります。
 19世紀からフランスの植民地だったアルジェリアには、早くから入植したフランス人が大勢暮らしていて、利権を握り締めていたため、1962年にド・ゴール大統領がアリジェリアの独立を認めるまで、フランスは7年に渡る惨い戦争を続けたわけです。
 いよいよ戦況が厳しくなった60年初頭には、アルジェリアで生まれ育ったフランス人の本国への引き揚げラッシュが続き、ニース港やマルセイユ港には多くの引き揚げ船が到着しました。中には手品師のように家族とばらばらになった若者や、泊まる所がない人もたくさんいて、ニースの浜辺のあちこちに行き場所のない引き揚げ者が目に付いたそうです。
 映画の中で、ミュウミュウ扮する手品師の幼馴染みが、カトリーヌ・ドヌーブに向かって「アルジェリアから引き揚げて来た私達には、正統派のフランセーズのあなたがまぶしかったわ。」と昔からのコンプレックスを打ち明ける場面がありますが、植民地とは言え家を捨て、今まで築き揚げた財産や持ち物を諦めて、トランク一つで知り合いもいないフランスに逃げ戻った人たちには、とても辛い経験だったに違いありません。でも、20代のカトリーヌ・ドヌーブが、ニース旧市街辺りでブロンドの髪をなびかせてたら、誰にだってまぶしいに違いないのにって、ついチャチャを入れたくなっちゃうのですが(笑)。
 そういう過去の面影は微塵もない今のニース港は、いつも穏やかで、コルシカ島やイタリアのサルディーニャ島へ向かうりっぱな客船が停泊し、たまに地中海一週+アフリカ行きの観光船も出たりします。シーズン中はニース~ヴィルフランシュを周る短いクルーズ船もあるので、プロムナード・デザングレを散策したら、是非港まで足を伸ばして見てください。
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by cheznono | 2007-06-01 02:00 | コート・ダジュール散歩